甘く、溶けるように。
芹沢くんと雨宿り
「………ほんとに雨降ってる」
冬休み明けの登校から二日が経った。
今日は朝から天気が良く、雨が降る素振りなんて全くなかったのに。
「千桜、今日雨降るって知ってた?」
「へ?雨…?」
「その顔は知らないな。はぁ…これだからおっちょこちょいは」
「おっちょこちょいとは違うでしょ!」
「似たようなもん」
高校に入ってからできた友達である梨絵こと中島梨絵と、昼休みにお弁当を食べている最中に言われた。
「天気予報見てないの?」
「だって晴れてたから」
「馬鹿」
「酷い!!」
冬にしては珍しく、雲一つない清々しい朝だった。
昼休みの時だって、教室は電気をつけなくても明るくて暖かい方だったし。
「…まぁ、誰かに傘借りるなりすれば?私は今日部活だから、相合傘してあげれないよ」
購買で買ったパンを頬張る梨絵に、口を尖らせる私。
「っていうか、まだ降るって決まったわけじゃないじゃん」
そうだよ、梨絵はお天気お姉さんでもなんでもないんだから。
「コレ見てもそれ言えんの?」
納得できないと言う私に、自分のスマホを見せる梨絵。
梨絵に見せられた天気予報アプリを5個くらい見ても、降水確率の欄には100%と書かれていて。