俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「あぁ、いつまでもベッドの中じゃ仕事がたまる一方だ」

「ベッドの中でも仕事していたじゃないですか」

 退院して職場には来ていないものの、彼はずっと寝室にパソコンを持ち込んで仕事をしていた。

 彼がゆっくりと歩いて、私の隣に立った。

「今日までお疲れさま」

「はい、ありがとうございます」

 笑って答えるつもりだったのに、涙がにじんだ。

「最近のお前は泣いてばかりだな。出会った日に外の中庭で派手なマイクパフォーマンスしていた女とは思えないな」

「それ、いつまでいうつもりですか? 忘れてください」

 あの時は元カレと後輩の仕打ちに耐えられずに、大人げなく爆発してしまっていた。あの後のスタッフの方の苦労を思うと申し訳ない気持ちになる。

「忘れるわけないだろ。あんな強烈な出会い」

 大輝さんが私の前に立ち、上からじっと見つめてきた。

「あの時からだ。いや、実はもっと前から決まっていたのかもしれないな。俺と未央奈が出会って、ここにいるのは……運命なんだろうな」

 彼が私の手を取り、指を絡める。

 赤い糸なんて信じるほど子供じゃないけれど、もしあるなら今の私たちの糸はしっかりと繋がっているのだと思える。

「そうだといいな。私が大輝さんの運命だったらいいのに」

 彼が私の手を引いて、歩き出す。バージンロードを歩き祭壇の前で足を止めた。ふたり向かい合って見つめ合う。

 ふたりしかいないチャペル。外の街灯の明かりがステンドグラスを通して中に差し込んできた。室内はわずかな灯りしかつけていないので、余計にステンドグラスの光が現像的だった。

 互いに言葉もなく見つめ合う。惹かれ合う心と同様に、唇も引き寄せらやがて唇が重なった。甘いキスに心が震える。数えきれないくらいキスしたはずなのに、いつも胸がどうしようもなく高鳴る。

 そして私は実感する。彼が好きなのだと。そして彼も私を好きなのだと。

「……未央奈、好きだ」

 キスの合間に彼が紡ぐ甘い言葉に、全身が溶けだしてしまいそうだ。

「ん……私も、好き」

「あぁ、わかってる。だけどもっと言いたい」

 彼が一度唇を離し、濡れた唇を指で拭った。私の頬を彼の大きな手が包み込む。

「愛してる。一生、ずっと」

 その言葉を聞いた瞬間、また唇が重なった。

 さっきのキスとは比べられないくらい激しいキス。彼の気持ちが私の中に流れこんできて体中が満たされていく。
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