【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
1.幼妻の場合(1)
◇◇◇◇

 オリビア・ディブリは今年で十八歳になった。
 絹糸のような金色の髪と夜空のように揺らめく藍色の瞳を持ち、すれ違う男性は必ず振り返る絶世の美少女とさえ言われている。
 そう言われているのだ。
 だが、彼女に見向きもしない男が一人いた。それは彼女の夫であるクラーク・ディブリである。
 オリビアが彼と結婚したのは二年前。彼女が結婚できる年になってすぐに結婚をした。
 オリビアの結婚を知った者たちは、老若男女問わず、クラークを心底羨ましがったようだ。
 そんなクラークはセンシブル子爵家の三男坊であった。短く刈り上げた黒髪は好感が持てるが、鋭いこげ茶の瞳と無口なところが、人を寄せ付けない要因とも言われている。
 だからこそ、彼と結婚をしたオリビアは「かわいそう」であると、そんな噂まで流れているほどだった。
 さらに、オリビアがかわいそうと言われる原因がもう一つある。それは二人の年齢差だ。
 オリビアが十八歳であるが、クラークは三十五歳。十七歳の年齢差の結婚となれば、やはりここには恋愛感情以外の何かがあると、誰もが勘ぐってしまうもの。まして、結婚したときには十六歳と三十三歳。倍以上の年齢差であり、熱愛の噂もなかった二人なのだ。
 実際、オリビアがクラークと結婚したのも、オリビアの父親であったディブリ伯爵――アトロが原因でもある。



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