【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 それでも彼女は着替えを手伝うと言い、風呂まですすめてくれた。
 となれば、綺麗とは言えない身体を磨き上げるのが先だ。
 服を脱いで浴室に入れば、そこは石鹸の香りと花の香りが交じり合う空間であった。浴槽に花びらが浮かんでいる。
 クラークにはこのような風呂は似合わない。一体、オリビアは何を考えて風呂の準備をしてくれたのだろうか。
 ほぅと息をついて、身体を洗う。
『旦那様。お背中をお流ししましょうか?』
 どうやら彼女のことを考えすぎて、いないはずの彼女の声が聞こえるようになってしまったらしい。むしろ、そんな言葉をかけてもらいたいと願う妄想によるものだ。
 クラークは邪な考えを振り払うように、頭を振った。
「失礼します」
 浴室のガラス戸の向こうから、彼女の声が聞こえた。
(空耳ではなかったのか? 本物か?)
 だが、本物であればあるほど問題がある。何しろ今は、風呂にいる。
 つまり、自身の全てを曝け出している状態なのだ。
「ちょ、ちょっと待て」
 慌てて局所をタオルで隠し、背中を丸めた。
(なぜ彼女が? 何が起こった? 何がどうなった?)
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