【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
(あぁ……、いい匂いだ。それに、あったかい)
 触れているところから、彼女の体温を感じる。以前にもこのようなことがあったことを思い出す。ということは、やはり彼女は寝相が悪いのだ。
(もう少し、彼女を見つめてもいいだろうか)
 仰向けになっていたクラークは、ゆっくりと身体の向きをかえた。
(寝てる……。可愛い……)
 とにかく可愛い、その一言につきる。むしろその言葉しか出てこない。
「むぅ……」
 何やら寝言を口にした彼女は、もぞりと動く。
「うっ」
 クラークは思わず呻き声を漏らした。こちらは寝言などではない。
(な、なんだ……。これは。わざと、ではないのか? 事故なのか? 事件なのか?)
 もぞりと動いたオリビアの膝が、クラークの下腹部に触れている。
(いやいやいや、ちょっと待て。なぜこんなに狙ってここを……。とにかく、体勢をかえねば)
 クラークは彼女の魅惑の領域から逃げ出したかった。彼が少し動こうとすると、オリビアも「ん」と声をこぼして、もそっと動く。そしてまた、彼を刺激する。
(まずい。オリビアが起きてしまう。この状況で起きられてしまったら……。俺が襲っているように見える、かもしれない……)
 彼女を起こさないようにと、ゆっくりと身体の向きを元に戻す。できることならば、寝ている位置も彼女と入れ替わりたいくらいである。
< 41 / 90 >

この作品をシェア

pagetop