【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 ベルを鳴らして侍女を呼び、お茶の用意を頼む。
 彼女たちは、無表情で与えられた仕事を黙々とこなす。変に探りを入れてこないから、クラークとしても気が楽だった。
 侍女は、一礼すると立ち去っていく。
 再びオリビアの隣に座ったクラークではあるが、もう少し距離をとって座るべきだと思った。
(なぜ、俺は学習しない……)
 おそらく、彼の本能が動いた。もう少し、オリビアの側にいたいという本能。そして、欲。
 慌ててカップに手を伸ばし、カラカラに乾いた喉を潤す。
 だが、お茶が熱かった。
「あちっ」と口にしたところを、オリビアに見られてしまった。
「旦那様、大丈夫ですか? 火傷、なさっていませんか?」
 オリビアが心配そうに、クラークの顔に近づいてくる。
「見せてください。火傷したら大変です」
 彼女にそう言われても、どこを見せたらいいかがわからない。
「旦那様、お口を開けてください」
 彼女の真剣な表情につられて、ついその言葉に従ってしまう。
 オリビアの指が、クラークの唇に触れた。少しだけひんやりとしている彼女の指が、優しく唇をなぞった後、下唇を捉えた。
(これは……。俺を誘っているのか? いや、違う。火傷をしているかもしれないからって、俺を純粋に心配してくれているんだ……。団長、この状況は不可抗力です)
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