【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 会場が明るくなり、周囲の観客たちがざわざわと動き出しても、オリビアは動けずにいた。それはどうやらクラークも同じようであった。
「素晴らしい映画でしたね」
 半分ほど人がいなくなったときに、オリビアはそう声をかけた。
「ああ、そうだな」
「そろそろ、私たちも出ませんか?」
「ああ……」
 クラークは残っていた飲み物を一気に飲み干した。
 オリビアは、彼に買ってもらった飲み物を、途中で飲み切っていた。あまりにも緊張して、喉がカラカラになってしまったのだ。
「出ようか」
 クラークが手を差し出してきたので、オリビアはちょっと考えてからその手を握った。
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