【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 大人の女性を演じていたつもりだが、それもすっかりと忘れてしまうほどオリビアは興奮してしまう。
 思わず立ち上がり、クラークを睨みつける。
「なぜ。なぜ、離縁なのですか?」
 離縁と言葉にしただけで、オリビアの頬には一筋の涙が流れた。
 驚いたのはクラークの方だった。
「なぜ、君は泣いている? 俺のような男と離縁できるんだぞ? 俺たちの結婚は、団長との約束のようなものだ。君が大人になるまで君を守る必要があった。だから俺は結婚をして君を守ろうとした。だが、君はもう立派な大人だ。俺が守らなくてもう大丈夫だろう。」
 クラークが『守る』と言っているのは、恐らくあの『伯父』のことだ。彼はあの伯父からオリビアを守ろうとしていたのだ。
「十八になった君は、保護者の承諾なしに自由に結婚できる。だから君には、本当に好きな男性(ひと)と幸せになってもらいたい。君の貴重な二年間を、俺のために費やしてくれたことには礼を言う。また爵位のことだが……。これは、君の新しい夫に継いでもらえるように俺の方でなんとかする」
 その言葉で、彼が爵位のためにオリビアと結婚したわけではないことがわかる。
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