【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 ぎしりとベッドが軋んだ。クラークが膝をついて彼女を見下ろすと、優しく頬に触れる。
「オリビア……。口づけしてもいいか?」
 そうやって尋ねてくるところが、律儀な男である。
「はい」
 彼女が返事をすると、彼は悦びに満ちた笑みを浮かべてから、その唇を奪った。
「んっ……」
 唇を啄まれているだけなのに、オリビアの全身にかっと熱が走り、力が抜けていく。彼の指は、柔らかく彼女の頬を撫で上げている。
 だが、その口づけも次第に深いものへと変わっていく。角度を変え、何度もクラークがその唇を貪るのだ。
「オリビア、口を開けて……」
 ワインの酔いと、彼からもたらされる快楽によって、オリビアは素直にその言葉に従った。
 彼女が少しだけ口を開けると、すぐさま彼の舌がオリビアの舌を絡めとった。
 結婚式のときは、頬に触れるだけの口づけだった。
 それ以来、彼から顔のどこかに唇を寄せられたことはなかった。あっても手の甲への口づけである。
 だが今、唇が触れるだけの口づけを飛び越して、濃厚で身体中が蕩けるような熱い口づけを交わしている。
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