断る――――前にもそう言ったはずだ
「それで、エルネスト様。
先程は陛下の手前、本心をおっしゃれなかったのかも知れませんが……本当に、わたくしとの結婚を断らなくて良かったのですか? 確かにわたくしは宰相の娘ですが、他にもっとふさわしいご令嬢がいらっしゃったのではないかと……」

「は?」


 些かドスの利いた声。モニカはヒッと息を呑む。
 どうやらまた、彼の機嫌を損ねてしまったらしい。モニカはシュンと肩を落とした。


「その件については先程も伝えたはずだ。僕はすべてを承知した上で、君との結婚を決めている。今後はそういった発言は謹んでほしい」

「はい、エルネスト様。申し訳ございません」


 胸のあたりが鉛のように重い。モニカは深々と頭を下げた。


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