断る――――前にもそう言ったはずだ
「それでも、モニカが対応をする必要はないだろう。彼とは先週、僕が会っているのだから――――」
「実は、エルネスト様に側妃を勧めるように言われましたの」
このままではずっと本題を切り出せそうにない。モニカは意を決し、エルネストの方へと身を乗り出す。
「エルネスト様、わたくしは――――」
けれど、モニカのセリフは続かない。
エルネストが彼女の口を塞いだからだ。
ちらりと見える彼の瞳は、冷たい光を放っている。モニカは首を横に振り、エルネストのことを押し返す。
けれど、彼は普段の数倍不機嫌な様子で、モニカを強引に組み伏せた。
「エルネスト様、わたくしの話を聞いてください」
「その必要はない」
至極冷たい声音。衣擦れの音が、どこか他人事のように響く。
「わたくしの意思は、考えは、貴方にとって不要なものなのですね……」
今にも消え入りそうなモニカの呟きが、エルネストに届くことはない。
彼はモニカが涙を流していることにすら、気づいてはくれなかった。
「実は、エルネスト様に側妃を勧めるように言われましたの」
このままではずっと本題を切り出せそうにない。モニカは意を決し、エルネストの方へと身を乗り出す。
「エルネスト様、わたくしは――――」
けれど、モニカのセリフは続かない。
エルネストが彼女の口を塞いだからだ。
ちらりと見える彼の瞳は、冷たい光を放っている。モニカは首を横に振り、エルネストのことを押し返す。
けれど、彼は普段の数倍不機嫌な様子で、モニカを強引に組み伏せた。
「エルネスト様、わたくしの話を聞いてください」
「その必要はない」
至極冷たい声音。衣擦れの音が、どこか他人事のように響く。
「わたくしの意思は、考えは、貴方にとって不要なものなのですね……」
今にも消え入りそうなモニカの呟きが、エルネストに届くことはない。
彼はモニカが涙を流していることにすら、気づいてはくれなかった。