断る――――前にもそう言ったはずだ
「だけど、エルネスト様。わたくしはこの三年間、貴方の子供を身ごもることができませんでした。
もしもこのまま子を授かることができなければ、貴方には側妃を娶っていただくか、わたくしと離縁をしていただかなければなりません。
今回のことは、遅かれ早かれというだけで……」

「王族は僕の他にも存在する」


 エルネストはそう言って、モニカを優しく抱き寄せる。
 それだけで、彼が何を言いたいか分かった。


「エルネスト様……」


 彼は本当に、生涯モニカ一人だけと想い定めてくれているのだろう。


 だったら、モニカがすべきことは一つだけだ。


「わたくしも、貴方の側に居たいです」


 モニカが言えば、エルネストが微笑む。
 彼の表情は、これまで見たことがないほどに温かく、優しくて。


 彼と結婚して以来はじめて、モニカは幸せな気持ちで涙を流すのだった。 
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