断る――――前にもそう言ったはずだ
「これからは、わたくしの気持ちも聞いてくださいますか?」

「……ああ、必ず。約束するよ」


 エルネストはそう言って、モニカのことを抱き締めた。
 これまで感じたことのない温もりに、心がじんわりと温かくなる。


「それから、わたくしはエルネスト様の気持ちや、行動の理由についても、きちんと教えていただきたいと思っています」

「僕の……?」

「ええ。どうして毎朝、あんなに早く起きていらっしゃるのかということや、わたくしに合わせて生活をしていらっしゃるのか。いつも冷たくいなされてばかりで、これまで教えていただけなかったことが沢山ありますから」


 これまでの日々を思い返すと、やはり心が切なくなる。
 モニカの瞳にじわりと涙が滲んだ。


「そうか。君は……そんなことが知りたいのか」


 エルネストはそう口にしたあと、己の発言の冷たさに気づいたらしく、「いや、違うんだ」と呟きながら、申し訳無さそうに顔を歪めた。


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