※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。

「まだ新婚です。今年結婚したばかりです」
「新婚さん!!いいね~今が一番楽しい時期でしょう?」
「そうですね」

 月城がニヤニヤしながら静流の手元にあるグラスにワインを注いでいく。
 ムードメーカーである月城に気に入られた静流の元には後を追うように、ゾロゾロと他の課員が群がって行った。
 酒の勢いも手伝ってどんどん話が弾んでいく。

「奥さんとどこで知り合ったの?」
「友人の紹介です」
「どんな人?美人?」
「美人かどうかは個人の感性によりますが……私にとっては世界で一番可愛い女性です」

 テーブルの端の方に座り静流達の会話に耳をすませていた紗良は思わず飲みかけの烏龍茶を吐き出しそうになった。

(世界で一番可愛いって……まさか私のことじゃないよね!?)

 恥じらうことなく惚気を言う静流におおっとどよめきの声が上がり、宴席は大いに盛り上がった。誰か口笛まで吹いている。……貸切にしておいて本当に良かった。
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