※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。

「おかえりなさい」
「静流さん、先に帰ってたんですね……」

 帰宅した紗良は静流と目が合うと、いつぞやと同じくフローリングの上に正座した。

「昨日はすみませんでした。静流さんを責めるようなことをたくさん言ってしまいました」
 
 静流のしたことはある意味では木藤を救っていた。紗良は猛省した。視野が狭いばかりに自分に都合の良い一面しか見ていなかった。
 静流は正座する紗良を見て、同じく床に座った。

「こちらこそ、すみませんでした。私の事情に貴女を巻き込んでいるというのに。配慮が足りませんでした」

 二人はお互い深々と頭を下げ合った。これで喧嘩両成敗。きっちり禊は済んだ。

「昨日買ったデリセットを食べましょうか?チキンも買ったので温め直しましょう」
「はいっ!!」

 こうして二人は一日遅れのクリスマスパーティーを開催した。
 黄金色に輝くチキンレッグ。マスタードのきいたエビとアボカドのサラダに、生ハムとサラミ。ちょっとお高い外国産のチーズ。メイン料理を食べ終わると、最後にはケーキが待っている。

「それじゃ、お紅茶淹れますね」
 
 ケーキといえば紅茶。ここで満を持して紗良の出番だ。

(さて、どれにしようかな……)

 吊り戸棚の扉を開け、どの茶葉を淹れようか吟味する。ケーキがチョコレートとベリー系なので紅茶との相性も気になるところ。

「紗良さん、あの……。実はつい買ってしまったのですが……」

 静流が恥ずかしそうに口元を隠しながら差し出したのは『LiLia』という紅茶ブランドのロゴが入った紙袋だった。
 紙袋を受け取り、封を開けた紗良は驚いた。
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