苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
そして一虎は、蜜柑の為なら平気で他人や時には自分さえも蔑ろにする。
(もちろん。
社会人として、仕事はきちんと完璧にこなすが)


「はぁ…蜜柑ちゃんに、会いたい」
午後の仕事をしながら、ポツリと呟く。

「イチ!
蜜柑ちゃん、蜜柑ちゃんうっせぇよ!!」

「あ、もうすぐ蜜柑ちゃんの講義が終わる。
電話しよっと!」

「…………俺の話、聞いてねぇよ……
………ったく…こんなんなのに、仕事完璧なんだよなぁ…
だから、文句言えねぇし……(笑)」
呆れながら呟く碧馬に全く気にもとめず、スマホを取り出し蜜柑に電話をかけた。

「…………あ!蜜柑ちゃん!?今、大丈夫?」
『うん!一虎くん、今休憩中?』

「うん!
はぁ…蜜柑ちゃんの声聞くだけで生き返る~」
『フフ…今日は水曜日だから、お昼電話できなかったもんね』

「そうだね。
……………あ!今、ビデオ通話しよ?
蜜柑ちゃんの顔がみたい!」
『え!?
は、恥ずかしい…////』
「お願い!少しだけ!」
『………う…わかった』

スマホを操作する。
画面が変わって、蜜柑の顔が画面に映り込んだ。

『一虎くーん』
小さく手を振り、名前を呼ぶ蜜柑。
歩きながらのようで、画面が揺れている。

「……はぁ…可愛い/////
蜜柑ちゃんだぁ…/////」

『フフ…
あ、今日お昼は碧馬さんと食べたの?』

「え……」
一虎を包む、明るい雰囲気が変わった。

『ん?一虎くん?
あ、一人で食べたとか?』
「あの…碧馬と……秘し…」

『ん?ごめん、電波悪いのかな?聞こえない』

「あ、あのね!
蜜柑ちゃん、ごめ━━━━━」
「イチ!!」

秘書とランチしたなんて、聞かせなくない。
自分なら………蜜柑が男子とランチするなんて聞かされたら、嫉妬で狂ってしまう。

なので謝ろうとすると、タイミングよく碧馬が声をかけてきた。

「え?」
「し、ご、と!!
まだ、仕事中!
ほら、いい加減に電話やめろよ!」

『あ!一虎くん、お仕事戻らなきゃだよね!
じゃあ、家で待ってるね!』
碧馬の呼びかけに、蜜柑が反応する。

「うん。ごめんね!」
小さく手を振る蜜柑に、一虎も微笑み手を振った。
< 17 / 30 >

この作品をシェア

pagetop