苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
一虎くんは、蜜柑ちゃんを愛してやまない
「━━━━━おはよ、蜜柑ちゃん!
寝顔、やっぱ可愛いね~!」

翌朝、蜜柑が目を覚ますと一虎が優しく見下ろしていた。
「ん…あ…一虎…くん…?」

「うん!一虎!」

「可愛い、一虎くん?」

「そ!可愛い一虎!」

「私に甘えてくる?」

「うん!蜜柑ちゃーん!ギュッてしよ~」
一虎が抱き締めると、蜜柑もしがみついた。

「………良かった」

「ん?」

「昨日の一虎くん、怖かったから……!」

「うん、ごめんね」
ゆっくり、蜜柑の頭を撫でる一虎。

「昨日の一虎くんは、本来の一虎くんなんだよね?」

「そうだね。可愛いなんて、俺には欠片もない。
甘えるなんて、あり得ない。
俺は、人に甘えなくても何でも出来るから。
出来ないことって言ったら……あ!
蜜柑ちゃんに、声をかけることかな?
俺さ。
蜜柑ちゃんとあの雨の日に会う、一年半前からずっと蜜柑ちゃんを見てたんだ。
ただ、怖くて……」

「え?怖い?」

「昨日の俺みたいな奴が蜜柑ちゃんに声かけても、蜜柑ちゃんはきっと……簡単に受け入れられないでしょ?」

「それは………」

「俺が碧馬だったら……きっと、初めて見かけたあの時に、声をかけて口説いてた。
碧馬みたいに優しくて、頭良くて、カッコ良かったら━━━━━━━」
「でも私は一虎くんがいい!!!」

ガバッと起き上がり、声を張り上げた蜜柑。

「え?蜜柑ちゃん?」
「出逢いが……例えば最悪でも、きっと私達は分かり合えてたはずだもん!
時間がかかったとしても、一虎くんとはきっと━━━━━」
今度は一虎が起き上がり、蜜柑を抱き締めた。

「うん、うん、そうだね。
蜜柑ちゃん、言ってくれたもんね!
俺達は“運命”の相手だって!」
「うん。
私は、どんな一虎くんも大好き!
一虎くん、その物が大好きだよ!」

「うん、ありがとう……!
俺も、大好きだよ……!」

二人は、しばらく抱き締め合っていた。


「………一虎くん」
一虎の腕の中で、蜜柑が呟く。

「ん?」

「昨日の一虎くん、怖かったけど……」
「うん」

そして、ゆっくり顔を上げ微笑んだ。
「カッコ良かった……!」

「ほんとに?」
「うん!」

「じゃあ……また“可愛い一虎くん”お休みしていい?」

「え?あ、いや…そ、それは…今はちょっと……」
言いにくそうに、視線を逸らす蜜柑。

そんな蜜柑に、一虎はフフ…と笑って耳に口を寄せた。


「たーくさん!甘やかしてあげたいな!」
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