チャット恋愛注意報!! 〜フジヤマ過去編〜
その後、チャットサイト自体が廃れていき……20人30人と同時に会話をしていたチャットルームも、今では5、6人でも多いなと思うくらいになった。
チャットでコミュニケーションを取る時代は終わった。
そうわかっていても……俺はチャットサイトから離れることは出来なかった。
俺が俺らしくここに居れば、いつかはまたユキと会える。
そう信じていた。
信じるしかなかったんだ。
だって俺は、ユキのことが忘れられなかったから。
ずっとずっと好きだったから。
顔も知らない。
本名も知らない。
ネカマ野郎が居る世界だから、実際に女だったかどうかも知らない。
だけどそれでも好きだった。
また会いたいと願ってた。
だからこそずっとここに居た。
『高校生ルーム8』から離れられずに居たんだ。
高校を卒業して、社会人になってからも。
時間を見つけてはひたすらチャットをし続けた。
「ゆき」って名前にドキリとしたり。
「ユキ」って名前に淡い期待を抱いて喋りかけたり。
結果としてはみんな俺の知らない人だったけど、それでもいつもユキを想ってたし、忘れることは出来なかった。
そんな時に出会ったのが、「YUKI」だった。