約束された血の匂い

その12

約束された血の匂い/その12
麻衣



「はあ…、それはそうなんですけど…、でも…」

「聞いてることにだけに答えればいいって言ってるでしょ、あなた!レッドカードだわ、もう」

ここで私は勝田さんに視線をおくった

「もう一度訊ねるわよ。相和会部外者として、久美を強姦した。事実ね?」

「うっ…、はい…。でも、久美とはその後…」

「余分な話はいい加減にして!」

そして、次の瞬間、アツシの口から大きな声が響いた

「ギャー!」

はは、コイツ、男に脇腹正面から蹴られて椅子ごと転げたわ

ひっくり返ったカメ状態で天井と睨めっこしてる

いい格好だ(笑)


...



「ウザったいから、その恰好のままでいなさい。アツシさん、最初に言った通り、私たちが暴行されるのは、相和会じゃないと筋が通らないのよ。あんたさあ、そうなると、未成年者への婦女暴行罪じゃないのよ」

「わー、助けてくれー!その久美とは付き合う仲になったんだよ。だから、そん時は強引だったけど、アイツは訴えないって言ってた。それで問題ないだろう、早く起こしてくれよ!」

まったく、なんとも下劣丸出しな野郎だわ

「なるほど。久美にはその気もないのに、テメーの保身で口説いたのか!」

「違うよ、好きだったんだ。これは本当さ」

このクソ男、言い逃れにかけては、なかなか知恵が回るわ

よし、方針転換してやれ

私はカメ状態のマトに目を向けたまま、隣の倉橋さんに小声で告げた

「他、すっ飛ばしで行きます」

「わかった…」

”彼”からは一言、了解を得た


...



「アツシさん、今までは北田久美の友人としての立場だったわ。テメエの都合のいいように、何言ってやがるって気持ちが正直なところだけど、まあ、いいわ。肝心なところだけでケリと行きましょう」

私はそう言った後、カメの顔を前にしてしゃがんだ

「私はね、あなたの根性が我慢ならないの。もっとじっくりやり取りするはずだったけど、あなたのしょうもない言い訳聞いてると、途中でキレそうなんで。ここからは手っ取り早く決着よ」

「どうでもいいけど、起こしてくださいよ。こんなんじゃ、まともに答えられないよ、はは、麻衣さん、頼みますよ…」

フン、のたまわってんじゃねーっての

ガシャーン~‼

「わー!何すんだー!?」

私は思いっきり人間椅子を蹴り飛ばし、反対側へ横向きにしてやったわ(笑)





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