約束された血の匂い

その22

約束された血の匂い/その22
麻衣



「勝田、西城は自分では選べないらしい。なら、こっちの作業効率で判断だな」

「ええ、じゃあ、指五本ぱっぱと切り落としですが、コイツの腕、太くて切りごたえありそうなんで、今日は腕、いきますか?」

「ああ、好きな方でいい。やれ!」

アツシの暴れ方がひどいので、総勢3人で押さえつけてる

「ああ、動かすなって!お前ら、もっとしっかり押さえつけてろよ!」

勝田さんは、ブンブン唸ってる全開の切っ先を何度か腕に近づけるが、その都度マトが暴れて、なかなか切り込めない


...



「西城、てめえ、動くなって、この野郎!オラー!」

ここで、今までで断トツの大音響での絶叫が、屋内に轟いた

勝田さんは、さっきと反対側の太ももにチェーンソーを当てたんだ

すぐに血が噴き出たよ

まるで生き物のように、ヤツの血が黒いズボンの上を這うように流れているのが、ここからでもはっきり見える

「勝田、とりあえず、左の小指いけ!」

「はい」

次の瞬間、ついに切断が完了した

絶叫はここで、あらゆる意味でのピークに達した


..


「西城、聞け!お前の大げさな叫び声で、こっちは耳の鼓膜が破れそうだ。いいか、俺の妻になる女も見てるんだ。これ以上は俺の一存で勘弁してやってもいい。以後、こっちの指示に従うならな。どうだ、テメー、俺の言うとおり出来るか!」

すでに顔と服に返り血を浴びている倉橋さんは、号泣しながら悲痛な叫び声を発しているアツシの髪の毛を掴み、ビンタを何発も浴びせ、返事を迫った

”わかりました…”

その言葉は約5M離れた私の耳でも、はっきりと聴き取れた

「よし、車を用意しろ。すぐに例の病院だ。その指、持ってな。急げばくっつくだろ」

独壇場だし、撲殺人…


...



「西城、運がよけりゃ、指が戻る。やれるだけはやってやるから、性根入れて聞け。お前を利用した奴らをこっちに引き込むんだ。詳しくはお前の体が回復してから話す。いいな、あー?しっかり誓え、この野郎!」

ヤツは泣きながら、弱々しく誓った

「もし、再び過ちを犯したら次はない。絶対殺す。わかったな!」

今度はお礼と謝罪と宣誓、全部だった

撲殺人は西城アツシを完全屈服させた…


...



頭を整理して思い返せば、なんとも凄惨な光景ではあった

だが、私は冷静に最後まで立会ったよ

正直言えば、途中で外に出たかった

アツシのことを気の毒にも思った

全部ひっくるめて、今日、一応が終わったんだ

午前4時半のデジタル時計の表示を確認した後、どうやら眠りについたようだよ、私





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