空色のオレと海色のキミ

色づく前に




東京に隣接する県の海の見える町。その町の病院で生まれた男の子と女の子。

一日違いの誕生ではあるが、たった12時間差でこの世に生を受けた二人。

「体重増えたねぇ。上手に飲めてますよ、佐久間さん」
「あっ、仲村さんも増えたねぇ。おしっこもせず頑張ったわね。おしっこで減っちゃうからね、あはは」
「佐久間さんも仲村さんも順調ですよ」

母子同室の病院だったので自分の部屋で授乳出来たが、助産師さんがいる授乳室の雰囲気が大好きだった二人の母は、いつもここで授乳していた。

「名前…早く呼んで欲しいよね…」
「仲村さんも命名式の、お七夜待ちですか?」
「はい。佐久間さんも?」
「ええ、そうなんです。決めてはいるのでこっそり呼んでいますけど」
「ああ…うちも同じです」
「命名式が退院と同じ日になるので、仲村なにちゃんなのか退院後に教えていただけますか?」
「もちろんです。一緒に生まれたようなご縁ですし、家もここに通えるほどの距離ですもの。えっと…ぼくちゃんともまたお会いしたいです」

そして男の子は空、女の子は海と命名された。

佐久間空と仲村海の物語はここから始まる。
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