空色のオレと海色のキミ



「俺と海が一緒にいれば、生まれた時からそういう運命だったと…例えば家族は納得するくらいだと思う」

俺が続けると海は目に溜めた涙を溢さないように小さく頷く。

「でも運命だと言って身を任せるのではなく、運命の主人公にならないといけないと俺は思うんだ。運命に身を任せ運命の人を求めるのではなく、毎日無数に出会う人の中から、運命と言えるだけの関係を築き上げることが大切だと思う…って、留学先で読んだ心理学者の言葉でもあるけれど…すごく共感したよ」
「…どうやったら身を任せるのではなくなるの?」
「決断」
「…決断…」
「そう。自分が主人公で自分が決断を下せばいい」
「そっか…何度も何度も、何度離れても空と再会はする…してきた」
「してきたな」
「今は決断の時…」
「そうだ。海が主人公、ヒロインだな…海、もう一度俺と付き合って」
「うん」
「そして最期の時まで一緒にいて」
「うん」
「最期は海洋散骨であの海に帰るって話は18の海の誕生日にしただろ?」
「それは今もそう思ってる」
「俺も」

海が微笑むと同時に流れた一筋の水色の涙が彼女の顎先へ到着すると、俺は海にそっと口づけた。
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