君の見ていた空
 俺は、世界滅亡の危機を前に、梓様の下僕になる事にした。

 俺自身もその事件の解決を願っていたし、とりあえず、梓様にはもっと楽しく笑っていて欲しい。

 多分、梓様は本当はとても優しい人で、お姉さんラブなだけの人なんだと思う。
 目立つのが苦手で、勉強は好きだから世の中の役に立つならいいやで色々とやってきたのだろう。

 今の梓様には、魔王の風格しか見当たらないが、多分、きっと、お姉さんが目覚めれば、とんでもなく美しい天使様になると確信した。

 梓様の周りを下僕1号としてウロチョロしているうちに、ポチという名前を貰った。親から貰った名前より遥かに嬉しかった。もう、司は廃業して、ポチになると決めた。

 俺は、情報屋をしている。両親から貰った西洋チックな美形を武器に男も女もターゲットからは必ず情報を貰い、ハッキングもお手の物である。時には顔を隠し、時には顔を出し、色々とやってきた。

 両親は、中々レベルの高いクズ野郎で、俺の育児放棄を乳離れした途端にヤラカシやがったから、俺は幼少期から使える大人にゴマをすって来た。おかげで、衣食住に困った事はない。勉強と運動もそこそこできたので、中学からは情報屋としてお金を稼ぎ、高校卒業と同時に一人暮らしをはじめた。高校までは、周りの大人が一人暮らしを反対してきたので、仕方がないので、お世話になっている家のクソガキ共の勉強を見てやり、成績を上げる手伝いをしてやった。
 もしかしたら、俺の家庭教師の能力が買われていたのかもしれない。
 中学と高校は、学費が全額免除の金持ちばかりが集まる私立を卒業し、卒業後は有名国立大学の緩い学部へ進学した。

 両親とは、暫くマトモに会っていないが、風の噂で、生きている情報は掴んでいる。俺に借金が来る事はないように、情報屋時代の伝いを使い上手くやっている。
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