君の見ていた空
 ある日の仕事終わり、街を歩いていたら、僕よりも美しいと思う少年と出会った。

 その少年は、とにかく瞳に光が一切無かった。今まで生きてきて、こんなに闇を纏っている人物には始めて出会った。

 だけど、その少年は、とにかく美しかった。多分、本当は光輝く少年だけど、何かしらの理由で闇の世界にいるのだろう。

 生まれて初めて、この人の役に立ちたいと思ったので、僕は梓君に付き纏うようになった。

 何かして欲しい事はないか聞くと、ポツポツと希望を出してきたので、僕はその願いを叶える事にした。
 そうしていると、タマという名前を貰い、僕の生き方に対してヤバいと言ってきたけど、多分、梓くんや梓くんの両親の方がもっとヤバい。

 梓くんの両親は、僕が仕事を始めてから暫くしてから、繁華街でとんでもない戦闘狂がいると聞き、その顔を探ってくるように言われたので仕事で少し接触した。
 見るからにマスクをして本当の顔を隠してはいたが、依頼主は顔を探るようにしか言ってこなかったので、マスクの顔を言うことにした。
 僕がご無沙汰してますと言っても多分、ピンとこなかったのは、自分達の素顔がバレているとは思っていなかったからだろう。

 絶滅危惧種と言われたが、それは梓くんの方である。
 こんな人間、ほぼいないはずだ。
 戦闘狂からこんな人間が生まれてくるなんて、この世界は本当に可笑しい。

 僕を幽閉していた糞ジジイなんて、糞なだけの、ただのジジイだ。

 梓くんが、単身で獄門組に乗り込んだ時は本当に涙が出てきた。獄門組は、ヤクザの中でもセキュリティ能力が高くて、組の関係者の顔が全く分からないのだ。
 ヤクザの絆の強さNo.1のところである。

 梓くんが、僕をお供に獄門組の屋敷を訪問して、若頭に会った時、ビビった。
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