君の見ていた空
 僕を3回も買った、金持ち男だったからである。

 2人して、時が止まった。

 そして、納得した。30億をポンと払える男は、コイツだったのかと。
 獄門組の中にとんでもなく金にうるさい奴がいて、金に少しでも狂いがあると、狂ったように犯人探しを始め、犯人から金を搾り取ると。

 30億の男は、やっぱり30億稼ぐだけ狂っていたのだ。

 年齢を聞いた時、本当に驚いた。その若さで、そんなに金を稼げるなんて、インテリヤクザというか、鬼ヶ城龍道という男は、今後、裏の世界を牛耳る男になると確信した。

 もしかしたら、表の世界も牛耳る事ができるかもしれない。だって、鬼ヶ城の隣には梓くんがいる。
 梓くんの力を借りれば、世界征服なんて余裕だろうし、鬼ヶ城の金に対する執着は尋常じゃない。そして、金払いもヤバい。

 僕に、10億出せる男だ。美しい物が生まれ続ける限り、この男は金を使い続ける。

 僕、鬼ヶ城から金を取る事だけにシフトした方が楽に生きられるかもしれない。

 僕、老けにくいし。鬼ヶ城が多分、死ぬまでこの美貌は保持できる。その後は、またその時に考えれば良いし。

 梓くんが、僕に対して、もしかして、異世界人?エルフ?と言ってきた時はちょっとドキっとした。

 僕は、ちょっと人間の血とは違う血が入っている。
 そのせいで、無駄に幽閉されたりしたのだ。糞ジジイは僕の生みの親ではないけど、血縁関係はある。

 〇〇召喚で、暫く家を空けているうちにできた子どもだからって、生まれてすぐに幽閉なんてするか?

 僕のこの美貌を見て、何も思わないのだろうか?
 大体、こんなに美しい僕の事は、愛でろと言うものだ。チヤホヤしろっての。

 鬼ヶ城は、とにかく僕の事を好きにできる権利を貰える事が嬉しいらしく、毎回めちゃくちゃ嬉しそうにする。

 そのうち、僕が子どもを産める事を言ってやっても良いだろう。
 美しい物好きなこの男がどんな反応をするのか楽しみだ。
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