君から声がかかる前に
「つばきー!」

「なーに?」

この頃の優号と僕は小学二年生くらいだろうか。

小学一年生のみ彼る帽子は、まだ綺麗な勉強机の傍には見当たらない。

それに、宿題であろうプリントの問題もレベルアップしている気がする。

「宿題わかんないー!」

優号の目線は、今見てみると庭に咲いている大輪のひまわりに向いていて。

ふわっと吹く風に揺られる風鈴の、チリンチリンという涼しげな音色は、心を優しくしてくれる。

「じゃあ一緒にやる?ぼくも分かんないとこあるからさ、教え合おうよ」
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