大江戸ガーディアンズ

一応畳敷きにはなってはいるが、どう見ても納戸のごとき三畳ほどの部屋だ。

美鶴は吉原から攫われるように北町奉行所 隠密廻り同心・島村 勘解由(かげゆ)の屋敷へ移されたときに、その妻女からしばらく納戸で生活させられたことがあり、以来かような部屋が苦手となった。

だが、さようなことは云ってはおれぬ、と部屋の中へ一歩踏み出したそのとき……


「危のうござるっ、義姉上(あねうえ)、お待ちくだされっ」

後ろにいた和佐から、ぐいと(たもと)を引っ張られた。


それもそのはず、行燈に照らされた部屋の中では——

髪を振り乱した羽衣が男に押し倒され……

今にもその(つや)やかで真っ黒な美髪が男の持つ匕首(あいくち)よって、ばっさりと切り落とされようとしていた。


そして、その男は——

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