大江戸ガーディアンズ

「舞ひつる……いや、本日だけは胡蝶でなんした。なんて格好をしていなんし」

我が身の方がよっぽど『なんて格好』であるのに、羽衣は美鶴に軽口を云う。


「……刃物を持った男の気は(たかぶ)らせてはなりませぬ」

武道の心得のある和佐が、美鶴にだけ聞こえる声でささやく。

「あの者は師に教えを請うではなく市井の中で培ったのでござりましょう。
(かた)がないゆえ、次の手が読めませぬ」

「では、どうすれば……」

(とき)を稼ぎまする。
さすれば、嫂上の艶姿を見てすっかり(やに)下がって腑抜けてる兄上であろうと、流石に正気になって探し回ることにてござりましょう」


——かようなことなら「花摘み」でも何でも、旦那さまと連れ立ってくればよかった……

美鶴は激しく悔いた。

< 220 / 316 >

この作品をシェア

pagetop