また、君と笑顔で会える日まで。

卒業アルバム

白い雲が風に吹かれて物凄い勢いで移動している。
そっと手を伸ばしてみる。触れられそうなほど近くに感じられる雲。
でも、絶対に届かない。
沢山あるはずのどの雲にも触れることは叶わない。
まるであたしの幸せへの距離みたい。
触れられるかもしれないと期待しても決して掴むことが出来ない。
どんなにたくさんあっても、掴めない。必死に手を伸ばしても、届かない。

「ははっ、ははははは!!」

その場に大の字になって笑う。

『リリカちゃんと友達になれて、私……幸せだよ』
『あたしも幸せ!』

昨日の萌奈との会話が蘇る。
あたしは確かにあの時幸せだって思った。だって嬉しかったから。

『ずっと思ってた。誰かに必要とされたいって。誰かの特別になりたいって。リリカちゃんは私にとって特別な人なの。だから、私もリリカちゃんこ特別になりたい。必要とされたい』

萌奈だけだったんだ。あたしのこと、必要だって言ってくれたの。
母にも高橋にも疎ましく思われてるあたしだけど、萌奈は必要だって言ってくれた。
あの時、ちょっと泣きそうだった。
胸が震えるってこういうこと言うのかなってそんなこと考えていた。
誰かの言葉でこんなにも感情を揺さぶられるのなんて初めてだった。
萌奈は今までに出会ったどの友達とも違う。
友達は沢山いる方だと思う。自分から声もかけるし、声もかけられることもおおい。
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