サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

「『クリチンガー・アワード』という世界の眼科手術医療を根本的に変えた卓越した眼科外科医に贈られる賞で、受賞した眼科医が書いた論文だ」
「凄いですねっ」
「毎年選ばれるわけではないから、受賞した人もまだ少なくて、眼科外科医の中では世界的にスーパーDr. だろうな」
「その医師も凄いですけど、そんな知識がある先輩も十分凄いですっ」
「ヨシ、飯でも奢れ」
「もちろん、ご飯でもお酒でも何でも奢りますよっ」
「言ったな?」

連日の当直で自宅に帰れない彼のために、奥様が着替えを医局に届けてくれたらしい。
更衣室でなく、私の目の前で上半身裸になり着替えている。

「で、お前はどうなの?」
「……どうって?」
「その本部長だっけ?イケメン御曹司のこと、好きなのか?」
「………」

好きか、嫌いかと言われれば、好きな部類。
基本、無口でクールなタイプが好きだから、財前さんはその点においてパーフェクトなのかもしれない。

若い頃は筋肉バッキバキの逆三角形タイプの人が好きだった。
少し前の私は手術に追われて二日も頭を洗ってないとか、メイクも直さず丸々一日過ごしたりすることなんてざらで。
そんな私でも一緒にご飯してくれるような安心感に惹かれて元彼と付き合ってたけど。
いつしか、戦友みたいな関係になっていて。
『女性』としてではなく、『友人』に成り下がっていたようだ。

医術に憑りつかれてる私はまだまだ恋愛不足だと思うけど、それでも何となく分かって来た。
二十代が残り僅かになった今、大人の女性として求めるものが何か。

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