【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
膝を折って、頭を下げる。そして最後に頭をあげた時、やりきったという感覚が襲い掛かってきた。恐らく、不手際は無かったはず。
「遠いところ、よく来てくれた」
低くて落ち着いた威厳のある声が、アルベティーナの頭上から降ってきた。
グルブランソン国王も五十に手が届く年齢であると聞いている。それでもその年齢を感じさせない若々しい風貌。
「社交界デビュー、おめでとう。これからの人生も豊かなものであるように」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます」
国王の言葉も、アルベティーナの言葉も、一言一句違わず決まりきった言葉である。アルベティーナがそれを知っていたのは、もちろんアンヌッカから教えてもらっていたからだ。
(私の受け答えも完璧よね)
アルベティーナは自画自賛。それが自画自賛だけではなかったと思えたのは、隣のコンラードも満足そうに微笑んでいたからでもある。
「舞踏会を楽しんでいってね」
アルベティーナの表情が凍り付いた。なぜなら、決まり文句ではない言葉がかけられたからだ。まさか、王妃から声をかけられるとはアルベティーナ自身、思ってもいなかった。
焦ったアルベティーナは「はい」とだけ小さく返事をした。
社交界デビューする令嬢が多いため、玉座の前でのやり取りは最小限であるとアンヌッカから聞かされていたアルベティーナ。だからこそ、王妃からの声掛けは異例中の異例。それに気付いているのは、恐らくその場にいた四人のみ。なぜ王妃がアルベティーナに声をかけたのか。アルベティーナは知らない。ただ、心臓がドキドキと苦しいくらいに高鳴っていた。
「遠いところ、よく来てくれた」
低くて落ち着いた威厳のある声が、アルベティーナの頭上から降ってきた。
グルブランソン国王も五十に手が届く年齢であると聞いている。それでもその年齢を感じさせない若々しい風貌。
「社交界デビュー、おめでとう。これからの人生も豊かなものであるように」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます」
国王の言葉も、アルベティーナの言葉も、一言一句違わず決まりきった言葉である。アルベティーナがそれを知っていたのは、もちろんアンヌッカから教えてもらっていたからだ。
(私の受け答えも完璧よね)
アルベティーナは自画自賛。それが自画自賛だけではなかったと思えたのは、隣のコンラードも満足そうに微笑んでいたからでもある。
「舞踏会を楽しんでいってね」
アルベティーナの表情が凍り付いた。なぜなら、決まり文句ではない言葉がかけられたからだ。まさか、王妃から声をかけられるとはアルベティーナ自身、思ってもいなかった。
焦ったアルベティーナは「はい」とだけ小さく返事をした。
社交界デビューする令嬢が多いため、玉座の前でのやり取りは最小限であるとアンヌッカから聞かされていたアルベティーナ。だからこそ、王妃からの声掛けは異例中の異例。それに気付いているのは、恐らくその場にいた四人のみ。なぜ王妃がアルベティーナに声をかけたのか。アルベティーナは知らない。ただ、心臓がドキドキと苦しいくらいに高鳴っていた。