【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それでもコンラードと共に、国王と王妃の前から下がれば、全てから解放されてこの息苦しいドレスからも解放されたいと、そんな気分にさえなっていた。
「よかったよ、アルベティーナ」
 コンラードが微笑んでくれたおかげで、より一層アルベティーナは解放感に包まれた。
 すべてのデビュタントの謁見とお披露目が終わり、大広間には華やかな音楽が流れ出す。その中央では、音楽に合わせて踊っている人たち。白いドレスを着ることが許されているのはデビュタントたちだけであるため、一目見て彼女たちがそうであることがわかる。
「エルッキお兄さま、セヴェリお兄さま」
 父親とダンスを終えたところに姿を現したのは、アルベティーナの二人の兄だった。
「社交界デビュー、おめでとうティーナ」
「そのドレス。とても似合っているよ」
 上の兄のエルッキはどちらかと言えば母親似である。身体は細く華奢のように見えるが、もちろんその服の下には鍛えられた筋肉が隠されている。彼は近衛騎士隊に所属しており、王族の護衛についていた。少し色白の肌と母親に似た赤茶の髪。彼が頭を動かすと、短く清潔に切り揃えられた髪も、さらりと動く。瞳も母親に似たグレイで、柔らかな眼差しで女性を虜にしていることなど、本人は気づいていない。
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