隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 社交界デビューしたためか、王都の別邸にいる間、アルベティーナにもお茶会の招待状やら男性からの手紙や贈り物が届くようになった。
「ヘドマン辺境伯と繋がりを持ちたいという方はたくさんいるのよ……」
 手紙を読みながらため息をついているのはアルベティーナの母親であるアンヌッカである。彼女も、まさかこれだけの短期間で手紙や贈り物がこれだけ届くとは思ってもいなかったのだ。
「ティーナ。お茶会は、こことここには出席しなさい。早速返事を書いて」
 こうやってアンヌッカの厳しい査定を潜り抜けた招待状だけがアルベティーナの元に届き、この王都にいる間に三件のお茶会に出席した。
 その中でもアップトン侯爵令嬢であるオティリエとは、一番気が合った。侯爵夫人もなかなか顔が広い人物のようで、顔を覚えてもらって損はない。それがアンヌッカからの助言でもあった。
 だが、アルベティーナもそう長くは王都に滞在をしなかった。社交界デビューをしたあの舞踏会の一か月後には、アンヌッカと共にヘドマン辺境伯へと戻ったのである。
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