【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 たった一時間という時間であっても集中して行えばかなりの数を捌くことができた。
「ありがとう、アルベティーナ。大分、はかどった」
 そこでルドルフの口元が綻んだことに彼女も気付いた。
「いえ。私も、団長には御礼をと思っていたので……。それに、団長に確認したいことがありまして……」
「休憩がてら、お茶でも飲むか?」
 ルドルフが立ち上がろうとしたため、アルベティーナは「私がやります」と口にする。
「そうか? 悪いな。ティーセットはそこに準備してある。お湯は、奥に火がある」
 彼が口にした『奥』というのはこの部屋と壁で仕切られている小さな部屋のこと。水道があり、お湯が沸かせる場所があり、簡単な食料が置いてある部屋のことだ。そこには彼が寝泊まりするための寝台もある。その部屋でお湯を沸かしてティーセットを準備したアルベティーナは、執務席の方ではなくその前に置かれているソファ席の方でお茶を淹れた。それはもちろん、あの場でお茶を零してしまったら書類が駄目になってしまうという気持ちがあったからだ。
「団長。お茶が入りました」
「ああ、すまない」
 目頭を指でおさえながら、ルドルフが移動してきた。
「団長、お疲れですね。もしかして、昨夜はこちらにお泊りになられたのですか?」
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