【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「ん、ああ。そうだな……」
 アルベティーナの向かい側に座りながらルドルフは答えた。カップへと伸ばす彼の手に、アルベティーナは思わず目を奪われる。何気ない仕草であるにも関わらず、なぜか目が離せない。
「それで、俺に確認したいこととは何だ?」
 お茶を一口飲んで喉を潤したルドルフがカップを戻すと、じっとアルベティーナを見つめてきた。
「あ……」
 このように正面から見つめられてしまっては、アルベティーナだって顔が火照ってしまう。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ……。あの……、先日の潜入調査の件なのですが」
 ルドルフが怪訝そうに目を細めた。
「私。途中から気を失ってしまったようで。団長にご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます」
 アルベティーナは立ち上がり、深々と頭を下げた。ため息が聞こえてきた。
 この部屋にはアルベティーナとルドルフの二人しかいないから、そのため息の主は間違いなくルドルフだ。
「頭をあげて、座れ」
「あ、はい」
 彼の言葉に従い、アルベティーナは再びソファに腰をおろす。緊張していたためか、勢いよく座り過ぎ、ソファに埋もれてしまった。その様子を見ていた彼が、くくっと喉の奥で笑っていた。
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