真実の愛〜真逆の二人〜
 「蓮君??」
私は驚いた。ついさっきまではいたのに!!どうして?? 周りを見る。でも、周りにいるのは、ゴテゴテとしたアクセサリーをつけた老婦人、ただ一人。やはり蓮君はいない。心臓が脈を打つ。もしかして・・・もしかして・・・私たちはぐれた??
そうだ。絶対!!はぐれたんだ!! 実感がわいてくる。よく考えると、この、イバラ公園は迷路みたいになっている。お互いに道を間違えたのだ。
「わわ・・・どうしよう!!」
私は混乱してしまった。人とはぐれるなんて、五歳ぶりだ。そのときは、いつも遊びに行く動物園でお母さんとはぐれてしまった。しかし、今回はこんな年齢で知らない場所で人と、はぐれるなんて!!
私はイバラ公園を歩き回った。もしかしたら会えるかもしれない・・・と思ったから。しかしその思いとは反対に、あたりは暗くなり気味が悪くなっていく。日も沈んできたし・・・私は怖くなってきた。このまいごは、五歳のときとは違って知らない場所で、今どこにいるかも、わからない。電話で助けを呼ぼうと思ったが、こんな時に限ってスマホのバッテリーが切れている。
「う・・嘘でしょ」もう心がパニックになっている。おねがい!!誰か!!助けて!!そう強く願った時だ。
バフッ
誰かに後ろから抱きつかれた。
「だ・・だれ??」
おびえながら振り向くと、そこには
「大丈夫か??」
と、息を切らしながら言う、蓮君がいた。
< 16 / 33 >

この作品をシェア

pagetop