セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?
お昼ご飯を買いに行き隣のデスクで食べてから、また一緒に仕事をするなんて…そうは思うが今は仕方ない。
「ゆーあ、ゆーあの言ってた‘いろんな手’の写真は試行の段階でもいくつか必要だから準備する」
「はい」
「どうする?」
「どうする、と言いますと?」
「モデルを呼ぶのか?」
そういうことか。手元に広げていたいくつものカタログを閉じながら
「モデルさんじゃなく、普通の人の手がいいんじゃないでしょうか?」
「客が自分に似た手を探すにはそうだな。どうする?」
桐谷センパイは私を試しているのかな?
「社内でお願いしたいです」
「どうやって?」
「試行段階では…例えばこの部屋の女性だけでもどうでしょう?」
「わかった」
「え?いいんですか?」
「いいぞ」
「あ…でもアクセサリーはもちろん、カラーネイルもない状態で撮りたいですね」
「じゃあ、そういう風に協力を求めてみて」
まず小川課長と青田さんに伝えると、来週までに透明なものにネイルを変えて来てくれるという。そういうことまでお願いするのは申し訳ないので、隣の企画の女性社員さんにはクリアなネイルの方にだけ協力してもらうことにした。
「よし、ゆーあ。今日はおしまい。飯」
「…お疲れ様でした。今日は帰ります」
夕食まで一緒になんて勘弁して欲しい。私は桐谷センパイがまだパソコンの電源を落としてないのを見てエレベーターまでダッシュした。