セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

国内有数の宝石店“Diamante Kai”という会社での雇用だが、高級宝石店“Kai”に違う路線のブランド…高級ではあるが一般的にもう少し手の届きやすい若い年齢層からの支持も狙った“Pietra Kai”というブランドが併設されており、私はその“Pietra Kai”の企画広報部所属となる。

無事に雇用契約も終え、とりあえずは1時間ちょっと掛けて実家から通勤することに決めた。

私が勤務するのはもちろん店舗ではなく、本社が2フロア入っているビルだ。ラグジュアリーな宝石店の雰囲気を壊さないようにか、ホテルかビジネスビルか分からないような空間だと、ビルに足を入れただけで思う。

原付バイクで通っていた市役所での服装では通えないから、週末に買い物に出掛けきれいめなオフィスカジュアルを揃えて‘いざ、出陣’とばかりに勢いよく家を出た月曜日。余裕を持って家を出すぎたかな?そう思い、地下から地上に出たところで立ち止まって腕時計を見ると

「っ…ぶね…」
「あ、すみません」

急に立ち止まった私にぶつかりそうになった人が、避けきれずに少し私に当たって私を見た。

「「あっ…」」

名前は忘れていた…何だったっけ?でも、この人よ…私の初体験の相手は…

「ゆーあ?ゆーあだよな?」
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