セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

地下から涌き出る人を避けるように、私の肘を持ちそっと移動させた男は5年前よりも格段にイケメン度が上がり、洗練された大人の雰囲気を纏っている。

「ゆーあ、ここで初めて会ったな。すごい偶然。元気だった?」
「…あの…急ぐので」
「あ、そうだよな。出勤?」

5年前にアメリカで会ったこの人…名前何だったっけ?…あっ…

「…ヨウって呼ばれてた人だ…」
「え?俺、忘れられてた?」
「…」

もう行かなきゃ…見えているビルに向かって歩き始めると

「…ついて来ないでください」
「俺の職場、このビル」

ヨウは私の目的地と同じビルを指差す。

「ヤダ…」
「さっきからゆーあ、ひどくないか?」
「いえ…それほどでも…」

ヤダけど、私も進まないといけない。

「何階?」
「6階、お願いします」
「わお、今日から来る中途採用の人ってゆーあ?」

あぁ、神様…あの面接で合格を下さったあとにこれですか…
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