セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

「駅の1本手前のここ、ちょっといい?」

何がいいのかと思えば

「ここにドラッグストアと小さなスーパーがある。この裏が駅前になるんだけど、そこにコンビニとベーカリー」

と本当に案内してくれるようだ。

「ここは弁当屋だね。大きなスーパーは少し離れているけど不便はないと思う。駅の向こう側は飲食店が多いんだ。あちら側へ行こうか」

そう言う江藤さんは郵便局の場所まで教えてくれる。

「ここ、江藤さんの地元ですか?」
「地元ではないけど、あれ」

駅の向こう側へ出たところで、彼は暗闇でも立派だと分かるマンションを指差した。

「あれ?」
「うち」
「…江藤さんのおうちが、あのマンションってことですか?」
「1202号。いつでも来て。結愛なら24時間大歓迎」
「…」
「夜這いもモーニング突撃も大歓迎ってことだけど?」
「…行きません」
「まあ、そう言わずに。何食べようか?うん?小料理屋、イタリアン、沖縄料理にスペインバル、もちろん居酒屋もある。カフェもいくつかあるから」
「便利だとはよく分かりました」
「だろ?」
「でも…なんだか、嵌められた感が拭えないんですけど?」
「何言ってんの、結愛?ハメるなんて…近い未来のことで、まだじゃないか」

話が通じない…シラフでは無理。こうなったらやけくそで当たってやる。

「スペインバルでガン飲みコース」
「了解」
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