セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

「…無駄に近くないですか?結構、空いてますけど?」
「結愛がここにいるのに離れる意味がわからない」
「いちいち耳元で言わなくても聞こえてますって」
「近い方がいい」
「聞こえればいいんです」
「俺の口から直接的に結愛に届く方がいいに決まっている…他の何にも触れずにな」

マジでヤメテください…酔いが一気にさめるほど他が覚醒しそうなぞくぞくする囁きはヤメテ…

「無駄に色っぽいのもいらない」
「結愛にそう思ってもらえれば本望」
「いらないって?」
「色っぽい、セクシー、感じる、抱かれたいっていう手順だ。結愛も自分でわかってるか?」
「何を?」
「大きな瞳が潤んでめちゃくちゃセクシーに俺を誘ってる」
「誘ってないから」
「ほら、睨んでも俺を駆り立てるだけ…いいね、結愛。大人の魅力全開だな」

大人の魅力?そんなこと言われたことないわよ。何しろ子役に似てるらしいのよ、私。

電車で何を言っているんだというような会話が途切れることはなく、知らないうちにタメ語になってしまったことを電車を降りてから‘すみませんでした’と謝ると

「いい感じだったのに謝るなよ、結愛」

江藤さんは私をぎゅうっと抱きしめてチュッ…頭のてっぺんにキスをした。
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