セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

「なんで…一度もプライベートで連絡取ったことがないくらいなのに…わざわざいいかな?って…はい…」
「それは結愛の勝手な判断」
「…私、すごく怒られてるのでしょうか?」
「そうだな。連絡するように約束していたのに守らなかったんだから」
「…」
「ずっと連絡を心待ちにしていたんだが?」
「すみません…」
「話をする間もなくて、寂しかったんだが?」

寂しかった…か。私も一度、ちょっとだけそう感じたかもしれない。

「どうしてくれる?うん?」
「どうもしないですけど…江藤さんは江藤さんだ…って…なんでかホッとしてます」
「結愛も寂しかったんだ」
「…ほんの一瞬…音速くらいでそう思ったのかもしれないけど…一瞬すぎて不確かです…」
「上等。ちゃんと寂しさは埋めてやる」

そう言われて嬉しいなんて…と思った時、江藤さんは身を屈めるように私にゆっくりと口づけた。

「ちょ…っ…何てこと…ここ、うちの前…私の身になってください、恥ずかしい」
「レディの部屋に安易に入れない」
「…」
「結愛が寂しくならないように毎日愛を囁く権利を俺にくれ」

コツンと額と額を合わせ、鼻先が触れるか触れないかの距離で見つめ合い…これはダメでしょ…ドキドキなんてもんじゃない、バクバクで血液が沸騰して体温が急上昇している。降参…自分の気持ちを認めるしかなさそうだ。
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