セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

自室前までは進んで、江藤さんとは少し距離を置いてストップすると

「何?」
「…威圧感…」
「怒ってるからな」
「マナーモードのままで気付きませんでした」
「そこじゃない」
「今日に限って寄り道してました…仕事の試行を終えて、いろいろと考えていたので」
「それも全く問題なし」

まだドアにもたれたまま、彼は私の腕を引いた。

「どうして引っ越したこと、俺に連絡しなかった?」

それを聞くのに抱きしめる必要はあります?

そうは思ったけれど、これが江藤さんだ、という気もしてどこか落ち着く自分がいて…でもドキドキして…自分で可笑しくなってきた。

「何が可笑しい?」
「自分」
「詳細の説明」
「詳細?」
「結愛が可笑しく思う部分の詳細」
「…抱きしめる必要はないけど…これが江藤さんだ、って納得してみたり…でもこの距離はドキドキで…自分が忙しくて笑えちゃいます」
「ん。おかえり、結愛」
「ただいま…?お待たせしました…なのかな?」
「引っ越し、何で黙ってた?」
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