セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

‘結愛?’
「江藤さん」
‘うん?’
「‘毎日愛を囁く権利を俺にくれ’っていうのにお返事しようと思ったら、ビューンって帰られたからお返事出来なかったです。残念」
‘悪い。返事の電話をくれたのか?’

これでもいつものアンニュイな雰囲気を崩さず余裕がある彼に太刀打ちできないことはわかっているけれど、それでも…このやり取りさえ、もう楽しくてわくわくでドキドキで、彼のことが好きなのだと自覚する。

「そうですね。スマホを持った時まではそうだったんですけど、お腹が減り過ぎて忘れちゃった。また電話します」

ブチッ…よし、少し気が晴れたのでおにぎりとポテトサラダを食べよう。

手を洗って部屋着に着替えると、おにぎりをかじりながらお茶を入れる。割引だからといって、これではなぁ…結構毎日のランチ代が高いなぁ…と思い、買って来たパンの福袋のように詰め合わせられたものを広げて明日のお昼用にどれか持って行こうと吟味する。

ピンポーン…誰?こんな時間に…宅急便も予定はないはずだし…そう思いながら手に残るおにぎりを食べきる。うん、おいし…ピンポーン…電気で在宅がバレてるの?居留守って無理なの…まさか…江藤さん?

ピンポーン、ピンポーピンポピンピンポーン…

「うるさいっ、壊れるってっ」
「いきなり開けるなよ、結愛」

そう言いながら江藤さんは私の顎を掬うとキスをする。パタン…カチャ…器用に後ろ手に鍵を掛けた彼は、唇を重ねたまま私の唇を舌でレロレロとなぞると、ぐいっと体を隙間なく密着させた。
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