俺様男子はお気に入りを離さない
6.涙の学園祭
中間試験の終わりとともに少しだけ秋めいてきた。
あれから私は美術室に行っていない。
描きかけのキャンバスは準備室の奥深くへ片付けた。

御堂くんも生徒会の仕事が忙しくなったようで、毎日バタバタしている。

教室で顔を合わせても喋ることはない。
寂しい……けど……、仕方ないって何度も自分に言い聞かせている。

学園祭が近く、各クラス出し物を決めるため教室内は浮き足立っている。だけど私の気分は晴れないままだ。そうこうしているうちに、多数決の結果、私のクラスはお化け屋敷をすることになった。

「じゃあ役割分担ですけど――」

後期も引き続き学級委員の菜穂がテキパキと決めていく。菜穂は実行委員もやるらしく、実に行動力のある彼女らしい。
ぼんやりと参加していたらいつの間にか私は大道具係に決まっていた。

「千花子にぴったり! 背景とか美術部の腕の見せ所よね!」

「うっ、プレッシャー」

菜穂が私の背中をバンバンと叩く。
美術部だからって絵が上手いわけじゃないんだけどな……と思ったところでふと思い出される言葉。

――なあ、それお前が描いたの? 綺麗だな。

御堂くんが私の描いている絵を見て言ってくれた言葉。
まるで応援されているかのように感じて俄然やる気がわいた。

……なんて単純なんだろう、私。
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