俺様男子はお気に入りを離さない

「なんで沢田と学祭回った?」

「たまたまだよ」

「沢田のことが好きなのか?」

「違うってば」

「俺と回ればいいだろう?」

「何言ってるの。御堂くんは生徒会があったでしょ」

たとえ生徒会がなかったとしても、御堂くんと学祭を見るだなんて至難の業だろうけど。
そんなことを思いながらそうっと腰に回った腕を外そうと試みたけれど、余計に強く引き寄せられてしまった。

「生徒会はやめる。千花子の方が大事だから」

「何言ってるの。無責任なこと言わないで。みんな御堂くんになってほしくて投票したんだよ。みんなの気持ちを――」

「みんなより千花子の方が大切だって言ってんだよ。わかれよ。もっと俺を頼れよ」

「頼るだなんて――」

「俺が何も知らないとでも思ってるのか?」

御堂くんの語気が強くなり、思わず口をつぐむ。
何のこと……と思いつつも、心臓がドキリと嫌な音を立てた。

別に御堂くんに対してやましいことなんて何もない。
沢田くんのことだってきちんとお断りしたし、それは御堂くんには関係ないし。

だったら、何のこと?
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