死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。



新川 爽玖という1年下の男の子に、ある告白をされた。



それは、一緒に、死んでほしいという願い。
でも、私は断ることが、できなかった。


今日という1日をまとめると、そういうこと。
それをお兄ちゃんには言うかと言ったら、言うわけがないな。



「そうか?今日はちょっと休もっかな〜って」




「でも、お兄ちゃんねぇ、すごくテストの点数悪いのよ。いけるの?大学」



なんだ。お母さんの機嫌が悪かったのは、そこだったんだ。



「夏菜はこんなのになっちゃだめよ。もっと今くらいから勉強しといて」




「は、はい」


一応返事は言っておく。



「ふん。俺だって頑張ってるし。最後の青春を味わいたいんだよ」



「青春?そんなの大学でもできるわよ!」



「ええ?ほんとか?」


「や、分かんないけど」


お母さんとお兄ちゃんの言い合いが続く。
私はその言い合いを聞いていた。

< 11 / 195 >

この作品をシェア

pagetop