死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
その時。




「夏菜ー!」




この声は…。


「あ、りか」


後ろを振り向くと、少し汗をかいていて、

ショートヘアで茶色の可愛らしい髪。
まんまるの目が特徴的な里花【りか】がいた。



里花は、今年、高校2年生で初めに隣の席になった子だ。



こう見えて人見知りな私に喋りかけてくれて、友達になった。
  

でも、別に親友とまではいかない。


里花は里花で、友達がいる。親友がいる。


だから帰るときは私は1人。里花は親友と帰っている。別にしょうがないことだ。



里花こそ絶対に男子からの告白は多そう。




「おはよ夏菜。何?なんか考えてたの?

まあ、夏菜だし、どうせ何も考えてないんでしょー!!」



里花は笑顔で軽々と言う。



心にグサッと、傷が入る。

 


私は、明るい自分を演じている。



よく笑うようにしていた。
明るく、しゃべりやすい人だと思われたかったから…。

嫌われたくなかった。



だからか、何も考えてないんでしょ、何も悩んでないんでしょ、とよく言われる。


私だって…考えること、悩む事…。きっと里花よりも何倍もあるのに…。。



でも私って、自分勝手だ。



明るく思われたかったのに、
何も考えてないと言われるのは嫌だし…。



「あはは。そんなことないわー!!」




無理やり適当に自分に笑顔を作って、思ってもない言葉を発する。


泣きたくなった。たった一言で。
弱虫だなぁ自分は。



でも、別に里花が悪いわけじゃない。

私がずっとこんなんだから仕方ない事だ。
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