死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
震える手をなんとか抑え、私は手紙を開ける。

とても綺麗で、小さな字で書かれてある。



[生きてください。あなたには、笑っていてほしいから。ごめんなさい]




もう、誰がこんなことを書いたんだとは、思わなかった。
でも、少しだけ文字が震えていた。

爽玖くんの字を見たあの日のことが脳裏に鮮明に蘇る。


ごめんなさいという謝りが手紙の最後。

だめだ。絶対に。だめだ。




勝手に、足が動いていた。




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