イケメン総長とキケンな関係 ~出会いは突然の入れ替わり⁉ 愛はそこから始まった~



 やっぱり。
 ならないわけがない。


 それは。
 あまりにも衝撃的な光景で。

 言葉で表すことのできない。
 そんな何かが。
 駆け回り始めた、激しく。
 頭と心の中でグルグルと。



 決まっている、無理に。


 頭ではわかっていても。

 はずがない、冷静でいられる。
 実際に見てしまったら。





 それもそのはず。

 私の瞳に映っているのは。
 私のことをじっと見つめている……私……だから……。


 正確に言うと。
 私の姿になっている龍輝くん、ということになる。

 そんな龍輝くん(私の姿)が。
 立っている、私のことをじっと見つめて。



「……龍輝くん……?」


 難しくなっている、声を出すことが。

 わけのわからない、いろいろな思いや気持ち。
 それらが駆け回り過ぎて。


 そんな中。
 呼ぶことができた、なんとか。
 龍輝くんの名前を。



 そのときに聞こえてきた声。

 それは龍輝くんの声だった。







 今の私は龍輝くんの姿。



 だから。
 当たり前のこと。


 私が声を出す。

 そうすれば。
 聞こえてくる、龍輝くんの声が。
 ということは。





 だけど。



 実際に。
 出した、自分が声を。

 そのときに。
 聞こえた、龍輝くんの声が。


 そのことは。
 やっぱり。
 違和感を覚えるし。
 理解が追いつかないし。
 できない、冷静になることが。










 いつになったら。
 できるのだろうか、冷静になることが。

 入れ替わってしまった。
 慣れる、そういう事実に。
 というように。





 って。
 そうではない。



 本当なら。
 起こらなければいい、入れ替わりなんか。

 そして。
 当たり前、そうならないことが。


 そういうことではないだろうか。


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